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「さわぎり」自衛官いじめ自殺事件

福岡高裁 平成20年8月25日判決 (確定)

海上自衛隊佐世保基地に配備された護衛艦「さわぎり」で平成11年11月に乗員の3等海曹が航行中の艦内で自殺したのは上官のいじめが原因だとして、両親が国に慰謝料2千万円の支払いを求めた。

事件のあらまし

 3曹の直属の上官が「3曹らしい仕事をしろよ」「バカかお前は、3曹失格だ」などと侮辱的な言動を繰り返していたことにより、男性はストレスによるうつ病を発症し、自殺に至った。
 海上自衛隊佐世保地方総監部は乗員への聴き取りを行ったが、「自殺の原因は特定できないが、いじめはなかった。自殺の原因は自らの技能練度が階級に見合ったものでないことに苦悩したためではないか。」とする調査書を公表したため、両親が平成13年、長崎地裁佐世保支部に提訴していた。一審判決では、上司の発言は認めたものの両親の訴えは棄却されていた。

裁判の結果

上司による一連の言動を認定し、「ある程度厳しい指導を行う合理的理由はあるが、人格を非難・否定するもので、目的に対する手段としての相当性を著しく欠く」と指摘し、心理的負荷を過度に蓄積させる違法行為があったと判断した。さらに、直属の上官が3曹に変わった様子がないか観察、対処する義務を怠った点を指摘し、上官による侮辱的な言動によるストレスでうつ病になり、それが原因で自殺したとして、一連の言動と自殺との因果関係を認め、国に対して350万円の支払いを命じた。

なお、自衛官の自殺者数は平成12年以降、毎年90名前後となっており、防衛省はカウンセリング態勢の充実や、メンタルヘルスに関する啓発教育を進め、平成15年には自殺防止対策本部を設置したものの、自殺者の大幅な減少は見られない。
この点について、原告弁護団は「悩みを抱える隊員が外部にアドバイスを求める制度的保障がない」と問題を指摘している。

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