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静岡労働基準監督署長(N化学)事件

東京地裁 平成19年10月15日判決 (確定)

男性社員(当時35歳)が自殺したのは上司の暴言が原因だとして、妻が国に労災認定を求めた。
静岡労働基準監督署の労災不認定処分を取り消し、上司の言葉が加重なストレスとなってうつ病になり、自殺したものと判断した。
パワーハラスメントを原因とした自殺を労災と認めた最初の司法判断。

事件のあらまし

男性は、当時、名古屋支店静岡営業所でMR(医薬情報担当者)として勤務。平成14年秋以降、上司の男性係長から「存在が目障りだ。居るだけで皆が迷惑している。お願いだから消えてくれ」「ガソリン代がもったいない」「何処へ飛ばされようと、俺がお前のことを仕事をしない奴だと言い触らしてやる」「お前は会社を食い物にしている。給料泥棒」「肩にフケがベターと付いている。お前病気と違うか」などと厳しい言葉をたびたび浴びせられた結果、同年末から心身に変調を来し、平成15年3月に首吊り自殺した。
男性の遺族が労災認定を求めたが、静岡労働基準監督署は、「上司の発言は指導・助言である」と判断し、労災と認めなかったため、その処分を取り消すよう求めた。

裁判の結果

係長の発言について、「10年以上のMRとしてのキャリアを否定するばかりか人格や存在自体を否定するもので、嫌悪の感情も認められる。このような言葉が、企業の組織体の中で、上位で強い立場にある者から発せられることによる部下の心理的負荷は、通常の上司とのトラブルより非常に強いものである」と指摘した。これらの上司の発言が遺書に記されていたことも踏まえ、係長の発言で男性がうつ病を発症したと認定した。
また判決では、会社として何らかの対処をした形跡が認められないなど、勤務形態と会社の管理態勢の問題も指摘している。
なお、会社に対して賠償を求める民事訴訟は、平成18年に和解が成立している。

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