メンタルヘルスと労災
企業に限らず、労働者を使用する者には、「安全配慮義務」が課せられています。
「安全配慮義務」とは、使用者は、労働者がその生命・身体等の安全を確保しつつ労働することが出来るように配慮しなければならないという義務のことです。労働者が、業務上事故に遭ったりケガをしたりしないよう「生命・身体の安全」に配慮することはもちろん、「心の問題」に対する配慮も要求されています。
平成20年3月27日、熊谷労働基準監督署は、うつ病で自殺した労働者につき、うつ病発症の原因は「過労」であるとの結論を出し、労災認定しました。この労働者は、月の残業が100時間、多いときは150時間以上にも上っていたそうです。
労災が認定されますと、遺族は遺族補償年金という形で、労災保険から補償が受けられるようになります。
労災保険は、国の制度です。企業に限らず、人を使用する者は、使用者側の負担で労災保険に加入しなければなりません(一部業態を除く)。使用者が、国が定めた率で計算された保険料を納めることで、万が一労働者に事故があった場合には、労災保険から給付がなされることになります。使用者側の金銭的な負担はありません。
しかし、労災保険からの補償には、慰謝料や逸失利益までは含まれておりません。すべての損害の賠償を求めて、遺族側が民事訴訟を起こすケースが非常に増えております。
前述の事例が、今後どのように推移するかは分かりませんが、過労自殺や過労を原因とするうつ病により自殺したような場合、まず労災認定を受けた上で、損害賠償請求の民事訴訟を起こす場合が多いかと思われます。民事訴訟で会社側に「過失あり」と認定された場合、会社側には莫大な金額の賠償支払いが命じられることも少なくありません。
会社には、労働者のメンタルヘルス面へのサポートも、強く要求されているのです。
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