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失われた世代

2008年1月21日 | 木津尚也

昨年6月に日本経団連が実施した調査によりますと、8割近くの企業が、若手社員が不足していると回答する一方で、大半の企業がいわゆるフリーター等の非正規雇用者を正社員として採用することに消極的であるとの結果が出ました。

我が国では従来、新卒者を採用し、企業内で必要な教育を施して戦力化した後、年功序列型の賃金をもって定年まで雇用し続けるという、いわゆる終身雇用制が採られていたのは、周知のとおりであります。

しかしながら、バブル崩壊後、企業はリストラを推進し、成果主義型賃金等の導入を図る一方で、新卒採用を控え厳しい経済状況の中を生き残るための努力を重ねてきました。

このような社会状況の中で、学校を卒業しても正規社員として働く場がなく、やむを得ずアルバイト等の非正規雇用で働く者や、いったん正社員として働き始めたものの、過酷な労働環境に置かれた結果、身体や精神を病みドロップアウトしてしまった者が多数生まれることとなります。彼らのことを「ロストジェネレーション(失われた世代)」と呼ぶのだそうです。

もともと、この言葉は第一次世界大戦の悲惨な現実を目の当たりにしたことで、従来の価値観に幻滅し、生きる意味を失った米国の若者世代のことを指すものだったのですが、現在の我が国の20代後半から30代前半の若者世代も、厳しい環境に置かれ、未来への希望を失いつつあります。

その結果として、本来結婚適齢期であるはずの世代の未婚率の上昇、そして少子化が発生していると考えられています。

ご存知のとおり、我が国の年金制度は、世代間扶養の考え方を基本としています。少子化が加速することによって、現役世代が減り、結果将来の年金給付が減っていくということになります。

また、企業経営の面から見ましても、一つの世代がごそっと抜け落ちていることによって、ノウハウの伝授が上手くいかないといったようなデメリットが生じます。数年前にJR西日本が大事故を起こし、多くの尊い人命が失われましたが、一説には、民営化時に採用を抑えた結果、技術の伝承が上手くいかず、また、従業員一人あたりの負担が大きくなったために起こってしまったとも言われております。

そして、経済面。『働いても、働いても』賃金が上がらない非正規雇用のままでは、現在および将来への不安から消費行動が抑えられ、内需拡大には悪影響が出てしまいます。

大企業は、既にバブル期なみの好景気に沸いていると言われています。その一方で、景気回復から取り残されてしまった世代があるのです。政府も、このような実態を把握し、相変わらずのバラ撒き型の少子化対策など採らず、もっと本質的な面を重視した対策を採るべきであると考えます。

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