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東京セクハラ(T菓子店)事件

東京高裁 2008.9.10

事件のあらまし

被告・・・T社
原告・・・X

 Xは高校卒業後、平成17年4月1日より3年契約、1年ごとの更新の条件で契約社員としてT社に就職し、2週間の研修期間を経て、Aが店長を務める店舗に配属された。

Xによると、AはXの休日明けの出勤日に「昨夜遊びすぎたんじゃないの」と言ったり、勤務時間中に「頭がおかしいんじゃないの」「エイズ検査を受けたほうがいい」「秋葉原で働いたほうがいい」「処女じゃないでしょう」「何かあったんじゃない?キスされたでしょ?」などの発言をした。

平成18年7月13日、Xは同僚のパート従業員Yに対して、他店舗で働く恋人の給料等を話したところ、翌日YがAに対し待遇の不満を述べるということがあり、AはXに対して他店の時給等をパートに話すべきではない旨を強く注意した。数日後にはXが工房内に入っていたためにAが「後で話しがあるからな」と強い口調で言った。XはYに対して、Aから怒鳴られたが理由がわからないと述べ、その翌日から出勤を拒否した。

Xは、精神的損害に対して500万円、休業による損害約100万円、弁護士費用50万円の合計約650万円を請求した。

裁判の結果

一審では、「エイズ検査」「秋葉原」発言は職場における雑談の域を出ないもので、雑談や酒席における一部の言動を除いてXに対する職務上の指導・注意・叱責であり、継続的なセクハラ行為があったとは認め難いとした。Aの言動は配慮に欠けたものであり必ずしも適切ではないが、このような言葉でXを叱責・注意したことが、直ちにT社に対して損害賠償義務を発生させるような違法な言動とは認め難いとして、Xの請求を棄却した。

これに対し、二審では、AとXは上司と部下の関係にあり、「頭がおかしい」「エイズ検査」「処女じゃない」等の発言は全体的に見ると、Xが弾圧的と受け止め、性的な行動を揶揄・非難するものと受け止めたことには理由があり、許容される限度を超えた違法な発言であったとした。ただ、7月13日のAの言動については一審の判断を維持し、違法性を帯びるものとは認めがたいとした。

その上で、Aの言動は店長としてXの職務執行中ないしその延長線上における慰労会ないし懇親会において行ったもので、T社の事業の執行において行われたものと認め、一審判決を取り消し、慰謝料50万円、逸失利益約100万円(給与手取額の6か月分)、弁護士費用20万円の合計約170万円の請求を認めた。

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